高津川を上る
2003.10.12
 今年、2003年の7月か8月、車に乗っているとき、偶然聞いたFM山陰の地域ニュースで、全国各地の川をまわっているアウトドアライターの本が出版され、その本の中で高津川が日本一に選定されたということを知った。そのときメモをとったわけではないのではっきりとは覚えていなかったが、先日、友人の「ドラマーリエ」が、その本を購入したということをホームページで知り、早速、私も買いに行った。
 その本は『日本の名河川を歩く』天野礼子著 講談社880円である。その中で、高津川のことを本当によく書いてくれている。 
 
 近年、「天然アユの遡上する山陰(原文では隠)の清流」として名を上げてきた高津川は、流程81キロメートルの中型河川だが、わが国ではもう絶滅寸前となった「ダムのない自然河川」である。流れは、六日市町を源流とする本流と、本流とほぼ同規模で、西中国山地の広島県の最高峰・恐羅漢山(1346メートル)を源流とする匹見川からなる。・・・・・・

 日本の中にはたくさんの名河川がある中で堂々の1位というすごい結果である。選定方法は各種項目が設けられていて、それぞれ採点され、その合計点で全国の川に順位がつくというもの。項目の中には、ダムがないか、とか、天然アユが遡上してくるか、カヌーで下れるか、川漁師がいるか、水質などなど。
 
 ホームページを検索すると2001年のデータではあるが、高津川の水質は中国地方1位、全国でも10位という本当に綺麗な川ということが立証されている。私自身、近くにあるだけに、そんな貴重な清流であるということを意識せずにいたのも事実。清流イコール四万十川(高知)というイメージができあがっていた。清流イコール高津川と全国の人が思ってくれるきっかけになる今回の出版だったのではないかと思う。
 
 そこで、実際の高津川をじっくり見てみたいと思い、時間があった10月12日に自転車で河口からゆっくり上ってみることにした。前日にフォールディングカヤックを購入したので、どの辺りから下れるかを調査するという意味もあった。


《今回のコース(緑の線) 数字をクリックすると、そこの風景がでます。》

 まず、最初に向かったのは、河口の大塚。時々あじ・キスゴ・スズキ釣りにでかける場所だ。朝9時過ぎだったが、結構車が止まっていた。河口に近づいていくと、河口横の海岸でサーフィンをする人でにぎわっていた。これも遊べる川ということになるのだろうか。そこから少し離れたところには、竿を出す人もいた。

@サーフィンをする人

@キス釣りをする人

@河口の駐車場

こちらはキス釣りだろう。いきなり人々が川(河口)に親しんでいる光景が目に入ったので、なにやらうれしくなる。カヤックをしている人は一人もいなかった。ここに、今後、カヤックをして遊ぶ光景が広がるといいなあと思った。
 川の方に目をやると、おだやかな景色が広がっていた。鵜が群れている。さすが、2年前まで、放し鵜飼漁が行われていた川だけはある。また、少し上って高津大橋を渡ると、橋から川漁師の方が漁をしてい

A川鵜がいっぱい

Aおだやかな川面

B川漁師の姿が
るのが見えた。今まで、あまり意識していなかったが、ここにしっかりと川漁師の方は生活しているのである。
 さらに上っていくと、山陰本線が通る鉄橋が見える。鉄橋と川という風景は、なかなか似合うと思うのだが、私だけだろうか。
 さらに行くと、子どものころ高津の親戚の家に行くときに必ず通った高角橋。この橋のアーチが子どものころ好きだった。今の子はいないであろうが、このアーチを歩いて渡ったつわものも過去にいたという話を聞く。(

C山陰本線の鉄橋

D高角橋

D水位計
決してまねしないように)橋脚に水位計があったので、見てみると30センチ〜50センチぐらいであろうか。普段の箇所を0としているのか、底を0としているのか?どっちだろう。底から30センチだと、ちょっと浅いかもしれない。
 高津川の支流白上川は、ぐっと細い川になり、辺りもなにやら湿地帯のようで雰囲気が変る。もう少し大きな流れだったら、ここもカヤックを浮かべると面白いと思う。ただ、やはり狭くて通れないかもしれな

E湿地帯のよう

F飯田つり橋

G最初の瀬

G木製の牛(水制)
い。
 白上川にかかる橋を渡り、高津川に戻る。飯田のつり橋。ここは、鉄でできていて、足元を見ると川が見えるので、渡るときちょっとスリルを味わえる。以前息子たちはETの飛ぶ自転車の様といって喜んで渡ったところだ。写真を撮ったとき、橋の下で丁度川漁師の方が漁をしていた。この橋からもう少し上ったところで、高津川最初の瀬らしき、瀬が見えてきた。カヤックが通れるか少し心配なところだ。ポーテージが必要かもしれない。
 もう少し行くと、「日本の名河川を歩く」でも紹介があった、牛(水制)がある。木材で牛の形に組み、洪水の時の水の勢いを緩める役目をするというものだ。
  さらに進むと、「せせらぎ広場」という標識が見えてくる。

Hせせらぎ広場の標識

H水を止めている

Hどろがたまっている

H横の本流はこんなに綺麗
標識には、親子が楽しく水辺に親しむ様子がイラストで描かれているが、この絵にだまされてはいけない。行ってみると分かるが、高津川との間に水止めをつくり、ほとんど流れのない高津川の中では一番どろがたまっていると思われる「せせらぎ」とは名ばかりの公園なのである。人の手が加わると変になってしまうという見本のようなところだ。せせらぎ広場ではないすぐ横の高津川の本流の方がよっぽど美しく、親子で水辺に親しめるという変な場所である。今では人もほとんど来ないのか、草ぼうぼうで、水の中に入るまでに挫折してしまうところである。税金の無駄遣いの典型。

I安富のつり橋から

Jいい雰囲気

Jここにも牛が

 さて、気を取り直してさらに上っていくと虫追〜安富あたりで、高津川の表情がより豊かになる。護岸工事はあることはあるが、自然に近い部分も多く残っているからだろう。落ちアユ釣り釣師もここらあたりから多くなる。
 もう一つのつり橋が安富にかかっている。ここのつり橋は自動車通行不可で、橋の上から釣りをしている人も2人いた。川沿いのサイクリングにはうってつけの道もこの橋をすぎると行き止まりになっていた。そこで、引き返して橋をわたり、9号線を通る。唯一川沿いが通れない箇所である。とはいっても、2

Kここにも川漁師

K見よこの水の透明度

K美しい〜
〜300メートル行くと再び川沿いの道(さきほどと反対側)に出ることができる。9号線をとおらず、この川沿いの道を気持ちよく進む。いつもは車で9号線しかとおったことがないので、ここの景色は初めてである。思ったより畑や田んぼが広々としていて、しかも綺麗な川がすぐ横を流れているのんびりできるコースである。本当にサイクリングコースとして売り出したらいいような道だ。途中、土手の道がなくなったかと思ったら、河原に下りていき、少しの間河原の中を通り、再び土手に出て行くようなところもあり、面白い。こういうところを気持ちよく自転車で通ると高津川のことをもっとたくさんの人が考えるのではないかと思う。

L最高の贅沢

Lヤナ

L気持ちよいポタリング

L稚魚の育成?
 ところどころにヤナがうってある。川漁師がいる証拠ではあるが、カヤックで下るにはここもポーテージをする必要がある。
 河原にはキャンピングカーもあり、その近くでアユを釣っていた。アユ好きにとってはこれほど贅沢なことはないだろうなあと思う。
 そうした気持ちいいポタリングももう少しで2時間近くが過ぎようとしていた。匹見川と高津川の本流が合流する地点まで来た。匹見川沿いをちょっと上って橋を渡らないと本流にはいけないので、匹見川を少

M匹見川には堰が

Nヤナ

N運動会開催中
し上った。すると、今まで全くなかった、コンクリートの小さな堰ができていた。
 橋を渡り、高津川本流を進もうとしたが昼までには帰ることにしていたので、今日はここまでとした。およそ河口から15〜16キロというところだろう。河口で高度計を0にしてきたので、ほぼ正確であると思うが、ここの高度は55メートルを表示していた。
 ちょうどそこでは幼稚園の運動会をやっていた。
 帰りは、ほとんどノンストップだったので、11時50分には家についた。
 ぽかぽか陽気の中とても気持ちよく約3時間のポタリングをすることができた。川を観察することが主な目的であったが、素敵なサイクリングロードを見つけたような気がした。
 本日は時間の関係でここまでだったが、いつか、この続きをやってみたい。
 本日の走行距離 39キロ。










『高津川を上る』