L『宇佐〜別府』2004.2.29
 リフレッシュ休暇というありがたい制度のおかげで、28日・29日・1日と3連休になった。この連休を利用して『つぎはぎ日本一周』の続きをすることにした。とは言っても28日は大田市で島根県の体操協会の会合がある。この会合に出席してからということになる。少々ハードスケジュールであるが、めったにないチャンスなので、会合が終わったその足でスタートすることにした。
 実質1泊2日。日帰りではないので、やや遠くなった宇佐〜のコースを計画した。だんだん、自転車出発地点が遠くなるので、計画に工夫が必要になってくる。

 準備をしているときに自転車の後輪の空気が抜けているのに気がついた。『高津川を上るX』以来のサイクリング、前回そうとうハードなオフロードを走ったせいでパンクした可能性もある。しかし、大田(体操の会合)に向かう前に一度空気を入れてみた。そうすると、すぐには抜ける感じがしなかったので、様子を見ることにして、そのまま、車の後ろに積んで出発した。パンクではないことを願っていたが、会合がすんで車にもどってみると、見事に空気が抜けていた。パンクである。これから宇佐に向かうというのに少々ブルーになりながら、パンクの修理をした。一度後輪をはずしてチューブを点検した。しかし、目に見えないような小さい穴が開いているようで、確認できなかった。パーキングエリアで修理をしたために水につけるということができず、あきらめて、スペアのチューブに交換することにした。通販でこういうときのために買って自転車のサドルバックに修理セットと一緒に入れていたものだ。「釣りで学んだ《道具の予備の大切さ》がこういうところが生きている⇒詳しくはこちら
 会合が終わった午後4時に大田を出発。途中何度か仮眠のための休憩をとりながら宇佐に向かった。
 悪いことに途中から雨が降り始めた。インターネットの天気予報である程度覚悟はしていたのではあるが・・・。めったにないチャンスなので、雨の中でもできるようレインコートなども準備はしてきているものの天気はいいに越したことはない。なんとか雨が上がって欲しいと思いながら運転したが、上がるどころか、どんどん雨脚が強くなっていった。せっかくの計画が・・・。
 宇佐に着くのは真夜中になるだろうと思ったので、前々回の下関〜宇佐と同様、駅の近くの駐車場で車の中に寝ることにして寝袋などをもって行った。
 予定通り宇佐に着いたのは夜中の0時過ぎだった。大田から食事の時間も入れて8時間かかったことになる。う〜やっぱり遠い。
 駅の近くには大抵どこも駐車場がある。また、駅には夜中にも使えるトイレもある。輪行で帰ってきたとき、自転車をすぐに車に積んで出発できるというのも、駅に駐車することの大きな利点でもある。『つぎはぎ日本一周』の車中泊には使える場所なのだ。また、今回は自転車用のキャリアを使わずに後ろに積んできていたので、寝床になる場所は、自転車を外に出さないとできなかった。雨の中自転車を出すのも・・・と思ったが、駅には屋根つきの駐輪スペースもあり、そこをありがたく利用させてもらった。
 前々回感じたこと。車の中で寝ているときに後ろ側はスモークガラスになっているので気にならなかったがフロントガラスからは寝ている様子が丸見えで視線が気になっていた。今回、それを解消してぐっすり眠りたいと考え、来る途中の100均でつっぱりポールとレースのカーテンを購入した。それを前の席と後ろの席の境にセットして目隠しにすることにした。これが大正解。視線を気にすることなく(とは言っても下関ほど、人はいない)テントに寝るのと同じぐらいの気持ちで休むことができた。前回同様、まず、エアクッションをひきその上に寝袋、そして、寒さ対策のため、フリース地の毛布を寝袋の中にセットした。2月の車の中でも、このようにすると寒いということはなかった。 
これが目隠し!快適〜
カーテンで目隠し
 朝7時・・雨
9時・・雨が上がる
 寝ていると車の屋根に落ちてくる雨音はさらに大きくなっていく。明日のツーリングは、果たして可能だろうか?という気持ちになりながら眠りについた。0時すぎに宇佐に着いたので、眠ったのは1時すぎになっていたと思う。
 朝、7時にアラームをセットしていたので、その時間に目が覚める。外を見るとやはり雨。それも結構降っている。さすがにこの雨の中でスタートする気にもなれず、もう一眠りして雨が上がるのを待つことにした。夕べ遅く寝たからであろう。次に気がついたのは、なんと9時を過ぎていた。あ〜寝すぎた。と思って外を見てみると。さっきに比べ小雨になっていた。これなら、なんとかなりそうと思い、出発の準備を開始。まず、寝袋、エアマットを収納。カーテン類も片付けた。
 車のガラスを見ると、結露、結露、結露。人間は生きていると水分を出すということがよくわかった。私が寝ている間に出した汗などの水分、呼吸の中の水蒸気などが外気によって冷やされて結露になったのだ。
 レインコートも着て、いよいよ出発。10時近くになっていたと思う。計画では遅くとも8時には出発したかったのであるが、こんな天候では仕方がない。やや急ぎ足のツーリングになることを覚悟して、スタートした。

レインコートを着て出発
 そこへ、特急ソニックが駅に入ってきた。以前息子が電車に興味があったころ博多駅に見に来たことがあったのだが、本当に九州の電車はかっこいいものが多い。その中でも特にかっこいいのがソニックである。私のイメージしたソニックは青色の車体のものであるが、デザインが新しくなったのであろう、入ってきたソニックはまるみを帯びた白い車体だった。これはこれでかっこよかった。
 

新しいソニック
小雨の中スタートした。しかし、・・・・スタートして2分か3分経ったころペダルをこいでいたら何か違和感を感じた。後輪を見ると、なんと、タイヤがぺちゃんこになっていたのだ。「あれ?新しいチューブにしたのに・・・」もしかしたら、パンク??と思い、タイヤをよく見てみると、なんと、ガラスの破片が見事に刺さっていたのだ。まだ、出発して800メートルの地点である。雨の日にはよくパンクをすると言うが確かにその通りである。今までにパンクしたのはこれを入れて3回、前回は「高津川を上るX」でいつの間にかだったが、前々回はパンクしたのはこの夏に松江の生活科の講座に通う時、これも雨上がりだった。そして、今回も小雨の中でのパンクである。雨とパンクの関係は確かにある。昨日もパンクの修理、そして今日も・・・・本当についていない。愚痴を言っていても仕方がないので、パンク修理セットを出し、せっせと穴をふさぐ。今回はガラス片だけあって、しっかりとパンクの穴がわかった。そこへゴムを接着させ、修理完了。う〜まいった。

がーん パンク!

修理 修理!
 今回のツーリングはひたすら国道213号線を進む。自動車用のトンネルと歩行者、自転車専用のトンネルが見えてきた。ここ国東半島にはこの後、何箇所かこういうつくりのトンネルがあった。歩行者・自転車専用トンネルは、新しく作っているところが多かった。島根県も歩道が狭いトンネルはこういうつくりにしてほしいと思った。
 少し行くと、今度は二本の防波堤がまっすぐに突き出している特徴的な港が見えてきた。臼野というところである。 
 

歩行者自転車専用トンネル

面白い港

防波堤が突き出している

再び2つのトンネル

下っては上る

 このあたりから、海岸線特有の緩やかなアップダウンの連続が始まった。少し鳥取から兵庫あたりの海岸の雰囲気に似ているような気がした。アップダウンの激しさは鳥取から兵庫の方が圧倒的に大きいのだけれども・・・。まあ、上っては下るの連続も苦しさの後にすがすがしさがやってくるという点でだらだらした道よりも面白みはある。
 少し行くと国見町に着いた。ちょうど、昨日益田市に国見高校のサッカー部が来て、益田選抜と試合をしたということだったが、(うちの息子は見に行ったそうだ)その国見に来たのであるとそのときは思っていた。国道沿いに国見高校があるかどうか探しながら進んだが、見えてこなかった。それもそのはず、帰って調べてみると私たちが知っている国見高校は長崎県にある国見高校だったのだ。あ〜恥ずかしい。もう少しで地元の人に国見高校はどこですか?と尋ねるところだった。あぶない。あぶない。
 国見町にはトンネルに番号がふられていた。たしか16番まであったように思う。同じ町内に16箇所もトンネル・・・多い。
 コンビニがなかなかない道だったので、昼食をどうしようかな?と思っていたところに久々にコンビニ。 早速弁当を購入して食べる。このころにはもう天気も回復してレインコートを着ていては暑いぐらいになった。レインコートを脱いでコンビニの横の小川の土手に座って弁当を食べた。ツーリングの楽しみの一つに食事がある。レストランなどに入って食べるのもいいけど、こうして、外で食べるのも気持ちいい。

ここで弁当

1番のトンネル
 再び走り始めると自転車専用道が始まった。やはり、こういう道はありがたい。安心して走れる。ツーリングをしていていつも悩むのが、自転車はどこを走るべきか?ということである。道路交通法では車道の左側を走ることになっているが、実際には狭い国道などは走っていて何度も危ないなあと感じることがある。自転車のすぐ横をスピードを落とさずに通り過ぎていく車がいるのである。私も車しか乗らなかったころは、歩行者や自転車の人がどういう気持ちなのかをあまり考えることがなかったように思うので、危険を感じるようなときにはわざと、大声で「こわっ」と叫ぶことにしている。こちらが意思表示をしないと、車はいつまでたっても自転車に乗っている人の気持ちに気がついてくれないと思うからである。まあ、大声で叫んだところで、どれだけ車に乗っている人に気持ちが届くかどうかはわからないが・・・。こんなことを書いていて逆にびっくりしたことを思い出した。確か萩のあたりを自転車で進んでいるときに、窓から顔を出していた犬が後ろから突然耳元に向かって吠えたのだ。車は近づいているのはわかっていたが、まさか犬がいようとは思わなかったので、思わずこけそうになった。あれは、本当にびっくりした。
 では歩道を走ればいいのでは・・・と思われるかもしれないが、これが結構大変なのだ。運転しにくいのである。ちょっとした段差でも自転車はよく拾う。この段差に神経を使い疲れてしまうのだ。また、自転車通行可の標識がない歩道は自転車は通ってはいけないことになっている。自転車通行可の歩道は右側しかなかったり、左側しかなかったりとそのたびに道を横断していたのではそちらのほうが危険でもある。また、突然歩道がなくなり、自転車はどうしたらいいの?と思うような箇所もある。自転車を抱えて階段を下りるというようなところもあるのだ。
そういう意味から、自転車専用道は大変ありがたい。ここは『国東半島サイクリングロード』。海岸沿いでもあり、とても気持ちよく走ることができた。途中面白い形の小さな島も見えてきた。まるで、軍艦のようだった。海の色もとてもいい感じ。菜の花もきれいな黄色を放っていた。

軍艦のような岩

サイクリングロード

気持ちいい

菜の花と自転車

サイクリングターミナル

菜の花と自転車U
 国東町にはサイクリングターミナルがあった。大分県はだいたい広い歩道やサイクリングロードが整備されていると感じた。
 大分空港を左手に眺めならがら進む。
 本日の観光地は出発前の計画から『杵築』と考えていた。この町はそれほどメジャーではないかもしれないが、山と渓谷社が発行している『九州小さな町小さな旅』というガイドブックに紹介されていた写真を見て、絶対行きたいと思った町である。とてもいい感じの坂がたくさんある町なのだ。実際にこの町について最初に目が行ったのは、お城。城下町はお城が観光の目印にもなるので、とても助かる。また、お城自体も面白く、大抵入っている。今回も迷わず杵築城に入る。入場料が160円と安い。中には展示物もいろいろとあった。天守閣から町を眺める。景色は大変よいのであるが、本日の目的の坂はあまり見ることができなかった。城の中にあった、観光マップをいただき、それをたよりに坂巡りを開始した。お城に近いところからということで、まず勘定場の坂。坂が石段でできていて、その周りの建物の雰囲気も昔風で江戸時代にでもタイムスリップしたような感覚になる。

杵築城

杵築城天守閣より

勘定場の坂

勘定場の坂U
 町の人は車が通れない坂なので、生活する上では不便かもしれないが、こうして、大切に守っていることに敬意を表したい気持ちになった。ただ、町全体を保存しているという感じではなかった。坂と坂の間を通っている道は拡張工事の最中で、少なからず昔の面影がなくなっていくのだろうと残念な気持ちになった。ただ、拡張した後の部分に建った建物を見ると、昔の雰囲気を残そうとしている気持ちは伝わってきた。もう何年かして、拡張工事が終わった時の町の雰囲気はどうなっているのかという点も興味がある。
 さて、次の坂を探す。酢屋の坂と志保屋の坂が道を挟んで広がっているところである。ここの写真を見て、必ずここに来たいと思った坂だ。少し探したが、やはり、ここも酢屋の坂のほうは石段でできた坂になっていた。期待通りいい感じの坂だった。

酢屋の坂

酢屋の坂U

志保屋の坂

杵築の町
 古いものを大切にしている町というのは、これから先とても貴重な場所になると思う。そういう意味でいろいろなところの坂を守っているこの杵築は今後もっと注目されてくる町ではないかと思う。
 町を散策していたら、いつの間にか5時過ぎていた。日は長くなったとはいえ、まだ2月。急がないと本日の宿泊予定地『別府』には暗くなってからの到着になってしまう。ライトはあるが、やはり、夜の道を自転車で通るのはできるだけ避けたい。急いで杵築をあとにした。
 別府駅まで25キロという標識。私の『つぎはぎ日本一周』の自転車のスピードは時速15キロあるかないかなので、2時間近くはかかるかもしれない。そうすると、7時ごろになる。やはり、暗い道を行くことになる。そう覚悟を決め、ひたすら別府に向かう。別府にこだわるわけは、実は出発前にインターネットで検索していたら、激安のビジネスホテルを発見したのだ。ホテルはやし&ニューはやしというところだ。インターネットの割安チケットを提示すると、なんと素泊まり3000円という値段なのだ。観光地別府で、この値段は絶対安い。前にも書いたが『つぎはぎ日本一周』はできるだけお金をかけないというのが似合うのだ。(勝手に自分でそう思っているだけだけれど)3000円のホテルを見逃す手はない。という理由から別府にこだわったのである。だんだん辺りは暗くなるものの、町の明かりもあり、それほど心細い感じはなく、7時前に別府駅付近についた。地獄巡りをするあたりから別府駅までが結構あったのは意外だった。
 さて、ホテルニューはやしに無事到着し疲れた体を休めた。ビジネスホテルといってもさすが別府。天然の温泉が引かれてあり、ゆっくり温泉を堪能することができた。

だんだん薄暗く

別府タワー

別府駅

3000円の部屋

 本日の走行距離 117キロ。
 関門トンネル通行料200円(前日)
 つっぱりポール150円
 カーテン100円
 宿泊代3000円
 杵築城入場料 160円

















『つぎはぎ日本一周』