『門司港〜志賀島』
2005.3.7
 実際に『つぎはぎ日本一周』を行ったのは、3月7日なのであるが、出発地点がだんだん遠方になってくる関係で、その前日から行動をおこさなくてはならなくなっている。今回も3月6日の夜に出発した。夕食を家族とともに食べて、その後出発。以前、下関〜宇佐を進んだときに見つけたいい駐車場が、門司港付近にあるのを覚えていたので、そこに車をおき、福岡方面に行こうと計画をたてていたのだ。朝早い時間からスタートしたいので、前日の夜に車で出発地点まで行き、車の中に寝るというパターンだ。車に寝る??と思われる方もおられると思うが、テントを張るより、よほど手軽で、しかも安全な宿泊場所なのだ。以前にも書いたが、『つぎはぎ日本一周』はなんとなく、豪華なホテルというより、安い宿や、キャンプ、車の中での宿泊などが、似合うような気がしている。
 プリウスは前の席を一番前に動かし、フラットに近い状態にすることができる。自転車を乗せたままでもなんとか、寝ることができた。3月なので、寝袋を2つと毛布を準備していたが、実際には寝袋1つと毛布で十分だった。ただ、完全に体を伸ばして寝るにはやや長さが不足していたので、やはり、自転車を外に出し、後ろをフラットにして寝るのが一番寝やすいと思われる。次回からはそうしよう。
 関門橋の東側は、西側とは全く違い、ほとんど車のとおりがなく、静かだった。駐車場もがら〜んとしていて、いくらでも自由に停めることができる感じ。ここは、公園の駐車場なので、公園にはトイレもあった。ここで正解。
 朝起きると、気持ちよい天気。出発前からわくわくしてきた。海を眺めると、関門海峡がすぐ近くなので、潮の流れも速い。

   

 準備をして、いざ出発。最初は門司港(門司港レトロ)へ向かう。ここには以前職場の旅行で来たことがあり、とても素敵な感じだったので楽しみにしていた。
 思ったより近く、すぐに到着。やはりとてもいい感じ。西洋風の建物が立ち並び、木でできた通路など絵になる景色だ。ただ、時間が早いので、お店はまだ開いておらず、立ち寄ることはできなかった。まあ、立ち寄ったとしても自転車なので、買い物をするにしても小物ぐらいしかできないのでちょうどいいか。雰囲気はミニリバプールって感じかな?
 門司港駅も西洋風の建物。ここも素敵なはずだ、駅舎が国の重要文化財なのだ。現役の駅舎が重要文化財というのは本当にめずらしいそうだ。ここでも記念写真。

   

 その後、海沿いの199号線を小倉に向かって進む。小倉では小倉城に行ってみようと思っていたのだが、これがなかなか見つからなかった。普通、お城というのは、ある程度遠くからでも見えるものなのだが、ここは、ビルの中にうもれている感じだった。それでも、標識をたよりに到着。城自体も予想より小さかった。一回りして次へと進む。
 『つぎはぎ日本一周』では、ところどころ城に寄っているが、これも一つの楽しみになっている。美しい景色、歴史など自転車の速度でゆっくり味わっている感じがする。

 

 次に目指したのは、若戸大橋。関門大橋ができてから、それほど注目されなくなったが、それでも私の意識の中にはこの辺りを代表する橋の一つということには変わりない。この橋は、昭和37年に日本独自の技術で完成し、その後の日本のつり橋の先駆的な役割を担ったものだそうだ。橋の色も赤というのが、とても印象的で、美しかった。橋のすぐ下に公園があったので、休憩もかねてコンビニで購入したサンドイッチで少し遅い朝食にした。
 この橋が渡っている海は洞海湾というが、ここは社会科の教科書にも出るほど、公害がひどい海で、1966年の水質調査では、水深3メートルでは溶存酸素量が0という魚の住めない「死の海」だったのである。あるHPには当時工場排水もそのまま垂れ流し状態で、船のスクリューも溶けるほどの汚れとあった・・・すさまじい。しかし、官民一体となった努力の末、美しい海が戻ってきたというところでもある。この海はさすがに山陰の海のようには綺麗ではないが、公害で汚染されていたという感じは全くしなかった。

 

 洞海湾を南に下るとスペースワールドが見えてきた。ここは、修学旅行の引率で何度も来たところだ。絶叫系のアトラクションが多いことで有名。中でもタイタンは60メートルからまっさかさまで、こればかりは何度乗っても恐怖心は消えない。個人的に好きだった(スリルを味わえた)のは、今はもうないが、フリーホールというアトラクション。これも真下に落ちるというもので、まるで、高いビルから突き落とされるような感覚でスリルを味わうことができた。・・・まあ、今日のここは通過するだけなので、ちょっと写真を撮ってすぐにスタートである。

 

 この後のルートは少し迷ったが、海に近い道を選んだ。遠賀川までは3号線を行き、その後、495号線を通ることにした。遠賀川には河原にサイクリングロードがあったが、今回は先を急ぐので、そこを通らず、土手の道を行く。

  

 今まで街中の道を通っていたので、こういう田舎道に来るとほっとする。『つぎはぎ日本一周』はいろいろなところを通るが、こうした田舎道がルートの中に少しでもあると落ち着くのだ。
 さらに鐘崎方向(海岸線)に行くために国道をそれ、県道300号線を行く。海が見えてきたぞ〜。やっぱり気持ちいい。さつき松原という松林の道を行く。ここの風景もいい。

   

 また、そこを過ぎると今度は、ここにも自転車道があった。気持ちよさそうだし、それほど、距離も変わらないと判断して、今度は自転車道を通ってみた。自転車道は当然だが、それまでの道も寺子屋などで子どもたちと一緒にサイクリングをするとしても、このルートならそれほど危なくないなあと感じながら進む。

  

 予定では博多の方まで行きたかったのであるが、時間的に無理と判断して、今回は海の中道を通り、金印で有名な志賀島までとした。途中にコンビ二があったので、そこで弁当を購入し、青空の下で食べた。午後2時近くになっていた。マリンワールドも修学旅行で何度も来ているが、イルカなどのショーは迫力がある。今回は、記念撮影だけして、志賀島へ向かう。ここから先は初めて通るところだ。
 海の中道も歩道が広く、ずっと快適に進むことができる。

   

 志賀島には志賀島橋という橋を通らなければならないが、橋と名はつくが、その下には海ではなく、ずっと砂浜が続いていた。砂浜をはさんで、福岡湾と玄界灘があるといった感じだ。海の満ち干きの関係で橋の下に海水が流れ込んでくることがあるのかもしれないが、私が通ったときには砂浜だった。

   

 橋を渡ると、いよいよ志賀島。ここはかの有名な金印が出土した島である。あれだけ有名なので、きっと立派な資料館か、何かあるだろうと思っていたのだが、そんな案内はない。本当にここは志賀島?多少不安になりながら進むと、「志賀島小学校」があった。確かにここだ。地図を見るともう少し進むと、出土した場所に金印公園というのがあるらしい。

    

 公園らしい場所が見えてきた。意外に地味な感じだったが、間違いなく、ここが金印公園だった。金印を見ることができると期待していたのだが、実は金印は福岡市博物館に展示しているということで、ここには、金印を拡大した記念石版があるだけだった。まあ、それでも、こういうひっそりとした感じも悪くはない。公園内を散歩して帰路につくことにした。
 帰りは、いつものように電車を利用して出発地点の門司港駅まで行く。一番近い駅は海の中道にある「西戸崎駅」だ。ここで、ビアンキを輪行するために分解していると、おじさんが話しかけてきた。彼も以前自転車で旅をするのが好きでやっていたということだった。私も、益田で、自転車で旅をしている人を見るとうれしくなるのだが、同じ趣味を持っている人というのはそれだけで、親近感があり、すぐにうちとけることができる。

 

 香椎で乗り換えをして、門司港駅へ向かう。思ったより乗客が多く、輪行するのはやはり気を使う。ウィークデーなので、通勤、通学の時間帯とちょうど重なるのだ。それでも、以前の前輪をはずすだけの巨大な輪行バックとは違い、わりとコンパクトにできるので、その点はいい。また、ロードバイクなので、重量も10キロと軽いので移動も楽になった。
 約2時間電車に乗って門司港駅に着いた。すっかり暗くなっていて、朝の駅舎の雰囲気とは違い、夜のライトアップされた駅舎は更に風格があるようにうつった。駅舎の中も大正3年にできただけあり、時代を感じさせるつくりになっていた。

  

 再びビアンキを組み立て、車を停めてあるところまで行く。そこから今度は益田まで・・・約2時間半の道のり。
 今回のツーリングは天気もよかったし、コースもいい感じだったしで、とても気持ちのいいものだった。次回はどのコースを行こうかな?
 本日の走行距離 112キロ
 関門トンネル通行料 往復で 400円
 西戸崎駅〜門司港駅 電車賃 1600円

 













『つぎはぎ日本一周』