『加布里〜伊万里』
2005.6.6
 前日の振り替えでお休み。息子たちは学校、つれあいはピアノ教室があるので、こういう日は『つぎはぎ日本一周』。しかし、だんだん出発点が遠くなり気合を入れないとできなくなりつつある。今回も前の晩から出発した。前回の終了地点、加布里についたのが深夜3時前。いつものように、駐車場に車を停めて車の中で就寝。6月ではあったが、車の中は少々寒さを感じた。
 加布里駅朝6時には出発する予定にしていた。というのも、今回のルートは鉄道沿いの道ではなく、鉄道が通っていないところを100キロ近く進んでやっと鉄道があるところに出るというコース、途中で帰るということができないのだ。それで、早朝からのスタートとなったわけである。ということで、3時間ちょっとしか睡眠時間がとれなかったが、予定どおり、6時すぎにビアンキでスタートを切った。  寝不足のぼおっとした感覚も自転車でスタートしてしまえばすぐにすっきりする。これが自転車のいいところ。天気もいいし、景色もいい。肌を横切る風もここちいい。
 加布里をスタートして、少し行くと海が見えてきた。『つぎはぎ日本一周』は基本的に海岸線を通る日本一周なので、こうして、日本各地の海岸線を見ることができる。海を見ながら自転車をこぐのはとても気持ちいい。しかし、202号線を通ったのだが、この国道は路肩部分が少なく歩道も狭いので、自転車にとっては非常にこぎづらかった。横を大きなトラックが結構なスピードで通る。そのたびに、車に対して真横を通らず、スペースをとってほしいということと、真横を通るのなら、スピードを落としてほしいという気持ちをこめて、また、自らに気合を入れるために、大声で「おうい!」と言いながら通った。まあ、車を運転する人には聞こえないだろうが・・・・。
 ここら辺りは唐津湾。二丈のパーキングエリア。そこからの眺めがいいので、ちょっと自転車を停めて写真を撮った。そこの海岸にはサーフィンをしている人たちがいた。後で分かったのだが、この浜は九州では唯一の鳴き砂の浜らしい。
 そこを少し行くと、ホテルか何かの廃墟があった。鉄筋コンクリート製だと思われるが、こうした建物でも放置していると、これほどまで朽ち果てるのか!とびっくりするぐらい、そのときは昼に通ったので大丈夫だったが、夜だと幽霊屋敷のようで怖いだろうなあ〜と思う。

  

 そして、遠くに松林が帯状になっている箇所が見えてきた。これが有名な唐津の虹の松原だ。

   

 どうせなら、海岸のすぐ近くの道を行こうと思い、国道202号線をそれて、海岸の細道を行く。その途中、もう松原に入っているのだが、花火をしたと思われるゴミが・・・せっかくの名所なのに、こうしたマナーの悪い人たちのために印象が・・・・・・残念!
 その細道を進むと、途中から砂地になった。ロードバイクの2センチ幅という極細タイヤには砂地はとても無理。ずぶずぶと埋まっていくのだ。仕方なく少し引き返して国道にもどった。ここは松林を守るためだと思われるが、両側に木でできたガードレールがあった。景観を考えてのことだろうと思う。その発想自体はとてもいいのであるが、ここまでの道と同じく路肩が非常に狭く、自転車や歩行者にはとても通りにくい道だった。それでも、さすがに松はすばらしく、大きなものも結構残っていた。前にも思ったが、島根県には大きな松はほとんど松くい虫にやられて残っていないが、九州はまだまだ残っている。薬を散布するからかもしれないが、それにしてもこの違いはなぜなのか、ちょっと不思議だ。松林のトンネルのような虹の松原を通って、唐津の町へ入っていった。

 

 唐津という町は大学3年生の時に西日本体操選手権大会で一度来たことがある。今からもう20年近く前のことだ。う〜時のたつのは早い。その時は大会のために来たので、松林が有名というぐらいで、後はほとんど覚えていない。
 唐津城、ここは1602年から7年間をかけて名護屋城を解体した資材を使用して築城されたといわれている。現在の天守閣は昭和41年に復元したものということだった。いい雰囲気の坂を上ると、そこに綺麗な天守閣。また、ここからの眺めは最高で、虹の松原などとても見事だ。残念ながら8時すぎに到着したので、天守閣はまだ、入場できない時間だった。守衛さんに聞くと、開館は9時からということだったので、1時間待たなくてはならない。ちょっと迷ったが、今日は先を急がなくては駅にたどりつけず、帰れなくなる可能性もあるので、あきらめて、景色を楽しんでから唐津城を後にした。

    

 唐津と言えば、「唐津くんち」お祭り自体は11月にあるのだが、曳山は曳山展示場にあるはずだ。ということで、城の次はその展示場へ向かう。曳山をしっかり見物だ〜と思っていたら、ここも9時にならない開館にならないということだった。が〜ん。となりの神社をお参りして、次へ進む。

 

 目指したのは呼子。ここは、先ほどの唐津城の資材のときに紹介した秀吉がつくった名護屋城跡があるところだ。朝市などでも有名だそうだ。その朝市がある呼子漁港にはカラフルな幟が立ち並んでおり、とても活気を感じる港だった。
 そして、呼子大橋。この『つぎはぎ日本一周』でなんとなく寄るようになった場所の一つに、その付近で有名な橋がある。橋の魅力は、その巨大さや造形美にある。また、その橋の上から眺める景色のすばらしさ、こうした理由で寄るようになった。ここ、呼子大橋も例外にもれず、とても綺麗だった。橋からの景色もGOOD。「自転車は歩道を押して歩くように!」という看板以外は、とてもいいところだった。

   

 次にいよいよ名護屋城。秀吉が朝鮮出兵のときの国内基地として約5ヶ月で築城させたと言われている城だ。今は石垣しか残っていないが、ここの雰囲気はなぜか他の日本の城とはちょっと違うような気がした。なぜか異国情緒を感じた?
 初夏の緑が目にまぶしいくらい濃かった。葉緑素が活発に活動している、そんな緑色だった。ここからの景色もよかった〜。ただ、残念だったのは、名護屋城跡博物館があるのだが、なんと、月曜日は休館だったのだ。唐津では時間の関係で入館できず、ここではお休みで入館できず・・・・残念。

   

 原発で有名な玄海町。しかし、風力発電もさかんなようで、多くの風車があった。このあたりから道路もアップダウンをくり返す、少々自転車にとってはきつい道。まあ、最近はロードバイクでトレーニングをしているお陰でそれほどのダメージは感じなかった。ふと、横を見ると、警察官の人形が・・・・私が小さいころには日本の各地にあったと思われるが、最近は見たことがなかったが、本当に久しぶりに見た。「こんなところにおられましたか?」と思わず声をかけたくなった。
 11時35分の時点で本日の走行距離80キロを突破。午前中にこれだけ走ったのはそうそうない。昼食は、コンビニ弁当。本当にこれがあるので、助かる。太陽の下で食べる弁当は格別。食べ終わったら横になって疲れたからだをしばし休める。ほんのちょっとの時間なのだが、うとうとっとしてきた。さすがに3時間睡眠が効いているようだ。でも、うとうとっとしたお陰で元気復活。午後の部のスタートだ。

    

 再びアップダウン。上りはきついが、景色の美しさ、下りの爽快さがあるので、がんばれる。この辺りは美しい棚田も多い。思わず写真を撮った。今でもこうした斜面に水をはり、米をつくっている農家の方に頭が下がる。また、遠目からはみかんかな?と思ってみていた果樹は、実はびわだった。大好きな果物の一つだ。うまそう!

    

 204号線を南下していく。そして、いよいよ本日のゴール設定地点である伊万里市へ到着。ここの橋には伊万里焼の壷などが欄干になっていたり、壁にお皿をはめ込んでいたりと、焼き物の町を上手くアピールしていた。

 

 ここの時点でまだ1時30分だった。この時間で終わるにはまだ早いので、近くにいいところは無いか?と地図を見ると、伊万里の中心街より南東に少し行ったところに「山水画のような景観と軒を連ねる窯元の佇まいが秘境ムードを漂わせる」というフレーズで「大川内山秘窯の里」が紹介してあった。距離的にもちょうどよさそうだったので、そこを目指す。多少の坂はあったものの、1時55分ごろに到着。月曜日というのに、結構観光バスも停まっていた。会話が聞こえてきたが、どうも日本人ではないらしい。韓国か、中国の人かな?国際的にもここは有名らしい。実際街並みを見て周ると、足を伸ばしてよかった〜と思えた。とっても雰囲気がいいのだ。坂の感じといい、窯の煙突といい、後ろに見える山の形といい、素敵だな〜としばし見とれてしまった。あまりゆっくりする時間もなかったので、肝心の焼き物の方は一軒一軒ゆっくり見て周ることはできなかったので、中から気になった店を何件かを見た。その中に片岡鶴太朗の作品が展示してある店に入った。鶴ちゃんの作品は他の作品とはちょっと違い、色といい形といい面白かった。まあ、焼き物は超ド素人の私なので、何とも言えないが・・・。それでも、ここ大川内山秘窯の里はお勧めのスポットなのは確か。

    

 伊万里駅に着いたのが、2時30分。だいたいいい時間になったので、ここで本日の『つぎはぎ日本一周』は終了。後は帰るだけ・・・とは言っても、これからが結構大変なのだ。
 ビアンキを分解し、輪行バックに入れる。だいぶ慣れてきたので、10分ぐらいでできるようになった。この『つぎはぎ日本一周』を始めた時はグレートジャーニーというジャイアント製のマウンテンバイクだったのだが、今はもっぱらビアンキのロード。ロードにすることで、距離が稼げるし、軽い、このバックを運ぶのも楽になった。ロードバイクというのは、旅をするのにばっちりなのかもしれない。よっぽどの坂道が続くところか、オフロードがあるようなところでないと、グレートジャーニーで来ようという気にならないのだ。
 電車の中で、うとうとしながら伊万里から唐津、ここで乗り換え、加布里まで行く。加布里に着いたときには、まだ明るかった。5時ごろだった。ここから益田まで。高速を通って大体9時ごろに到着。今回のルートも資料館などは見ることができなかったものの、とても気分的にはいい旅になった。
走行距離 120キロ
アベレージ 21.4キロ
最高速度 56.4キロ
費用
高速代4700円ぐらい?×2
電車賃 1250円















『つぎはぎ日本一周』