『島原〜七浦』
2006年4月3日
 朝7時すぎに目を覚ました。今日は、朝からいい天気だ。これだと本当に気持ちよく旅ができる。朝、自転車の準備をしていると、工事をする人たちだと思うが、声を掛けてくれ、『つぎはぎ日本一周』のことなどを話した。今日のルートの普賢岳に行くまでの道について、聞いてみた。すると、やはりずっときつい坂ということだった。まあ、展望台まで6〜7キロぐらいの距離で570メートルぐらい上るわけだから、きついというのは仕方がないのだが、こうして地元の人から「きつい」ということを聞くと、改めて気合が入ってくるのがわかった。今日は、相当きつい1日となりそうだ。
 昨夜の段階で、今日のコースをどうしようか、いろいろ考えていた。『つぎはぎ日本一周』は基本的には海岸線に沿って日本を周ることにしているので、普賢岳に行かなくてもそれはそれでOKなのであるが、折角ここまで来たのだから、登ってみたいという気持ちも出てきていたのだ。地図で見ると島原方面から一番普賢岳に近い展望台までは6〜7キロぐらいの距離なので距離だけならたいしたことはない。しかし、570メートルも自転車で上らなければならないということに、多少の不安があった。まあ、そうは言っても、6〜7キロの近くまで来ているのに行かなかったとなると、後悔するような気がしたので、きついということは覚悟して、今日のコースに普賢岳の展望台まで行くことを決めたのだ。

 

 気合が入ったところで、いよいよ普賢岳に向かってスタート。島原市から最初に見えるのは普賢岳の手前にある眉山という山だ。この山があったお陰で島原市が普賢岳の火砕流や土石流から守られたといわれる山だ。この山と平成新山との間に向かって道は進む。最初のころはそれでもまだ、きつい感じはなかったが、県道207号に入り、右手に南千本木町の砂防ダムが見えてきた辺りから、だんだんと坂がきつくなってきた。しかも、曲がっても曲がっても坂は続くといった感じ。ついに途中でまっすぐに進むのが困難なほどの坂になり(疲れによるものかも)車もほとんど通らないし、見通しもよいので、道幅を使い、左右に大きく蛇行しながら進んだ。こうすることで、少しでも坂のきつさをやわらげようとしたのだ。そんな苦労をしても、草木のないごつごつとした岩肌が見える平成新山がだんだんと近づいてくるのが、なんだかわくわくして不思議と気分的には悪くなかった。平成新山ネイチャーセンターという標識が出ていたので、寄ることにした。標識からセンターまでは200メートルぐらいあるのだが、ここから見える平成新山も迫力があり、いい感じだった。

    

 平成新山ネイチャーセンターに到着した。自転車をとめ、リュックを下ろすと背中が汗びっしょりになっていた。自転車の上に汗でぬれたTシャツや上着を干して、Tシャツの予備を持ってきていたので、それを来て、中へ入った。中には、昨日入った雲仙岳災害記念館のミニチュア版のような展示物だったので、あまり時間はとらず、すぐに、外の展望所に行ってみた。さすがに、一番近い展望所だけあって、展望所自体がシェルターのようになっていて、火山が噴火したら、すぐに避難できるようになっていた。
 ここで、Uターンして島原市にもどったのだが、ここまで来て正解だった。きついのはきつかったけれど、達成感があり気分的に充実したものとなった。ここに来ずにそのまま海岸線を北上していたら、味気ないものになっていたのではないかと思う。この二日間のメインディッシュと言ってもいいぐらいのものとなった。下りは車も通らないし、相当な坂なので、スピードを出した。久々に最高時速更新か!と思われたが、時速68.6キロどまりだった。ツールド国東のときに、時速72.9キロを出したが、それがいかに速かったか改めて確認できた。

    

 島原市にもどらずに、県道58号線を北上してショートカットした感じで国見町に行く道もあったのだが、ここは、『つぎはぎ日本一周』の大原則、海岸線に沿って進むという意味から再び出発した島原市にもどった。そして、昨日遅くなって行けなかった湧き水に関係する場所を周った。白土湖に行った。ここで最初に目についたのは、この湖から水をくみ上げている散水車だ。また、その湖の横には共同の洗い場もあった。この時間には洗う人はいなかったが、今でも、ここで地元の人はい物をするということだった。湧き水で湖ができているだけあって、綺麗な水で、こうして今でも地元の人々にいろいろな形で活用されているのだ。その近くに耳洗公園というところもあり、そこも綺麗な水が流れていて、タクシーの運転手がその水を利用して車を洗っていた。

   

 国号251号線を北上する。海を眺めながらの道というのはやはり気持ちいい。国見町に入ったところ、面白い形の街燈があった。さすがはサッカーで有名な国見高校があるところ、街燈の形がサッカーボールだった。大分県にも国見町というところがあり、以前の『つぎはぎ日本一周』で勘違いしていたのだが、ここが本当のサッカーの国見高校があるところだ。国見を過ぎて吾妻というところに来た。ここは干拓をするための水門があるところだ。海の生物に影響を与えると考えられ、これだけの広大な農地を造る必要が本当にあるのか?と疑問なのだが・・・。干拓地を農地にしてもその運営が本当にできるかどうかも不透明という報道も先日あったのだが。水門を見ようとして一番近い道を進もうとしたら、そこは進入禁止になっていた。仕方がないので、他の道から(普通に入れた)水門の近くまで行ってみた。水門を近くで見て改めて、この工事の大きさを感じた。本当に必要か?

  

 諫早へもどったのだが、まだ、時間的に余裕があったので、鹿島方面へ向けて国道207号線を北上することにした。この道はほぼ、JRの長崎本線と平行していて、時間がきたら、すぐに電車に乗れるという安心感がある。対岸にはさっき登っていた普賢岳が見える。あそこからここまで自転車で来たのか〜となにか不思議な気持ちがした。

   

 駅ごとに自転車をとめ、電車の時間を確認する。余裕があったら、次の駅まで進むという感じで結局「肥前七浦」という駅まで来た。輪行ができるように準備はしてきたのだが、今回は車をとめた諫早よりも島根に近いところなので、帰りに自転車を積むことにして、自転車は駐輪場にとめて電車に乗った。
 この方法だと、輪行をする手間がはぶけるのだけれど、同じ景色を3回見ることになる。1回目は自転車から、2回目は電車から3回目は自動車からというものだ。なんだか、面倒くさい感じもするが、視点を変えれば、同じ有明海の違った面を見られるという意味で面白かった。特に有明海は干満の差があり、さっきまで海だったところが干潟になっていたりして全然雰囲気が違っていたのが興味深かった。

    

 今日のルートは前半は普賢岳を目指した上りできつかったのだが、後半はスピードにのり、結構スムーズに距離を稼ぐことができ、昨日よりも長い104.33キロも進むことができた。平均時速も20キロを超えた。天気の関係からか、気持ちよく進むことができたのが原因だと思う。
 今回の『つぎはぎ日本一周』も大成功というところか。次回はどこに?
本日の走行距離 104.33キロメートル
     アベレージ 20.9キロ
     最高時速 68.6キロ
費用  宿泊代 6300円
     高速代 武雄〜美弥 3400円
    













『つぎはぎ日本一周』