F 鳥取〜城崎
 2003.8.1
 4日間、複式教育の講座が松江であった。このことを「つぎはぎ日本一周」に有効活用するため、最終日に鳥取まで輪行しそこから東に行くことにしたのである。
 鳥取までは行ったことがあるが、それより東は、車でもまだない。新しい場所に足を踏み入れるというのは、なんとなくどきどきする。今回のツーリングでは、特に楽しみなのは、余部(あまるべ)の鉄橋である。以前強風で、列車が転落したというニュースを見たことがあったが、そのときの映像に出た鉄橋の高いこと。40メートルぐらいはあるとのこと。そんな高いところを一本の鉄道が通っているのである。う〜んすごい。
 ということで、7月31日の夕方、輪行で鳥取まで来た。
 今回から輪行バックを新しくした。今まで使っていたものは、前輪だけをはずせばいいとても簡単なものだったが、大きさが問題だった。巨大なのである。鉄道に乗せていくには他の乗客に迷惑をかけそうで、乗っている間中ストレスを感じていた。なんとかコンパクトにならないものかと考え、多少手間がかかっても前後輪両方をはずして入れるバックにしたのである。これだと、大きさも迷惑というほどではなく鉄道乗車中のストレスを感じることもなく輪行することができる。使用してみると、思ったよりも収納にも手間取らずにできた。これからはずっとこの輪行バックに決定である。
 鳥取に着き、ホテルを探した。松江の激安ホテルに慣れてしまったので、素泊まりで、5000円と聞くと、すごく高く感じてしまう。しかし、なかなかそんなに安いところはなく、仕方なく、素泊まり4800円のニュー鳥取ホテルに泊まることにした。部屋はさすがにユニバーサルホテルとは比べ物にならないくらい大きく立派だった。ホテルってこんなに広かったのかあという感覚になった。

NEW輪行バック 鳥取のホテル

 さて、夕べ輪行をした後、ホテル探しをしたこともあり寝るのが遅くなったので、起きるのも少々予定よりも遅くなり7時。準備をしてホテルを出発したのが7時20分だった。最初に向かったのは鳥取駅。鳥取駅の広場はゆったりとした作りになっていて、なかなかいい感じである。ちょっとした公園を思わせる。鳥取の街中を抜けて、鳥取砂丘ぞいを東に進む予定だったので、街中を通っていると、面白いベンチを発見。遊び心がある。

鳥取駅 おもしろいベンチ

 再び鳥取砂丘。前回海が見えるところまで行ったので、今回は写真だけ撮り、先へ急いだ。
 途中歩道が広かったので、そこを悠々と進んでいると、突然行き止まりに。こういう作りが自転車通行可の歩道にあること自体不思議でならない。
 ひょいっとサイクルコンピューターに目をやると、なんともう少しで1000キロメートル。この自転車を購入してから今日で、丁度1000キロ走ったことになる。う〜んよく走ったなあ。

再び鳥取砂丘 ああびっくり 祝1000キロ

 178号線は山の中を走っていたので、ここは景勝で有名な浦富海岸沿いを走っている県道155号を行くことにした。しかし、道を間違え行きすぎてしまったため、無人駅の「おおいわ」の構内を自転車を担いで横断させてもらい(自転車はこんな離れ技ができるので重宝する)線路よりも向こう側へ渡った。そこを走っていると、「ヘリコプター」の音が。田んぼにリモコンのヘリで農薬をまいていたのだ。う〜んかっこいい。思わず写真をパチリ。網代漁港では烏賊を干していた。
 浦富海岸を通ったが、さすがにいい景色の連続。海沿いを走るのはやはり気持ちいい。浜坂へ突入。9時50分。いよいよ兵庫県である。

リモコンのヘリ イカ   ひがしはまをバックに

 この後、どう進むか迷った。ツーリングマップルを見ると「丹馬御火浦」の次の紹介文「伊笹岬から西に続く役8キロメートルの海岸線には大洞門が連続、国指定の天然記念物」が気になりその道を行くことにした。しかし、これが悲劇を呼ぶことに・・・・。たしかに景色はすばらしかったが、そういう感情を消し去るほどのきついきつい峠の連続だったのである。まず、三尾までに大きな峠があり気合を入れないと上れない。上ったら一気に海まで下る。この下りの最中、はるか上の方に道が見えたので、いやな予感が・・・。そう海ま出たのであるから海抜0メートル。そこから再び上る。なんと6キロぐらいの間にだいたい250メートルぐらい上るのである。しかも、上ったり下ったりで最終的に250メートルなので、相当にきつい。萩の鎖峠が今まで最高にきつい峠であったが、そういう感じの峠がいくつもある感覚だった。高低差は高度計がないので正確にはわからないが、案内の看板に遊歩道が200メートル以上の高さを通っていると書いてあり、この道はその遊歩道よりもはるかに上を通っているのだがら、きっとものすごいものだったと思う。

  こんな感じの坂の連続

 途中車には一台もすれ違うことがなかった。それほど、人がほとんど通らないような道だったのである。3名のおばあちゃんとすれ違ったが、そのとき全員が「まあ、この道を自転車でいくかね?」と驚いていた。やはり、この峠を自転車で通る人など皆無なのであろう。途中「不老の水」という山水があり、そこで、喉を潤す。しかし、この道はまだまだ続く。上っても上ってもまだまだ続く。こういう時は、本当に普通の道にもどることができるのだろうか?という不安まで感じてしまった。それほど、きつく長い坂が続いたのである。ついに、途中、休憩場所でもなんでもないところで、自転車を止め、道路の真ん中に座り込んでしまった。こんなことは初めてである。どんなにきつくても行くしか方法は無いというのは分かっているのであるが・・・・。あ〜まいった。
 そこに座り、休憩をして再び上る。ついに下りが・・・今度こそ、最後まで下ってくれと思いながら、今までの辛さを忘れるように軽快に下っていく。下っても下っても下り坂。それほど、上ってきたのである 。途中、灯台が見えてきた。「余部灯台」である。lこの灯台は、建物の高さはそうでもないが、明かりがある場所としては日本一高いということだった。

不老の水 絶景 まじできつい〜 余部灯台

 その後は幸いにも上るところはなく、下り道のまま、余部鉄橋が見えてきた。やった。ついに、「丹馬御火浦」を制覇したぞ!という感覚と、余部鉄橋が見えてきたぞ!という二つの思いが出てきていた。12時30分ぐらいだった。余部鉄橋はさすがに高く、圧倒された。すごい。
 余部鉄橋の下のお店で食事をした。「ざるうどん」である。これがうまい。峠を越えてきた身にとってこたえられないうまさだった。店のおばちゃやんが、「丹馬御火浦」を自転車で通ったということを聞いてびっくりしていた。
 自分もまだ行ったことがないそうである。おばちゃんから余部鉄橋の面白い話を聞けた。昔は、道が通っておらず、他のところに行くには鉄道しかないということだった。近くの余部駅に行くためにはなんと、余部鉄橋を歩いて渡るしか方法がなかったそうである。通勤や通学にもみんなが地上40メートルにかかっている鉄橋の上を通ったということだった。そのころ、赤ちゃんを背負って鉄橋を渡っていたのを思い出すといっていた。汽車が横を通るときには、本当に怖かったそうである。その鉄橋の前にトンネルがあり、そこも通っていたそうで、そこもそうとう怖かったそうである。病人が出たときは大変で、戸板を担架代わりに使い、この鉄橋を歩いて渡ったそうで、にわかには信じがたい話だが、事実だそうである。しかし、不思議とそこから落ちたという人は聞いたことがないと言っていた。昔の人はたくましい。
 また、この鉄橋は海風で錆び、維持費がかさむということで、コンクリート製の橋がすぐ横にできるそうである。その話を聞きとても残念に思った。
 おばちゃんが、サービスにアイスコーヒーと、飴玉をくれた。「ありがとうございました」

ついにきた! 余部鉄橋をバックに この上を歩いて通っていたのか〜 食事をしたお店

 余部を後に先へ進む。余部は谷間の町ということもあり、再び上り坂。この坂を最初に上ればきついと感じたかもしれないが、「丹馬御火浦」の上りに比べればなんともないくらいであった。
 再び海岸線に出て少しいくと今子浦というところに「かえる島」というものがあった。まあ、かえるに見えなくもない。

かえる島

 その後も、上り下りの繰り返しで海岸線を進む。先ほどの書いたが、最初にここを通ればきついと感じたと思うが・・・・である。
 竹野というところにきた。ここで鉄道に乗るか、城崎まで行ってから乗るか迷った。距離的に行けなくもないと思ったが、竹野から城崎までになんと「鋳物師戻峠」というすごい名前の峠があるのである。鋳物師がきつくて戻ったことからついた名前だろうか?こういう名前がついた峠・・・・う〜ん悩む。
 しかし、時間も中途半端なことだし、思い切って行こうという気持ちになった。さすがにこの峠もきつく、名前どおりであった。「丹馬御火浦」と同ぐらいのきつさだった。しかも、今回は鉄道の時間もあり、ゆっくりとは上っていられない。そして、いくつもの峠を越えてきたところへ最後にこのきつい峠。さすがにまいった。しかし、なんとか、峠を越え、下りになった。城崎である。着いたのである。本当によくやった。今までのツーリングの中で、一番体力がいるコースだった。もう一度やれといわれてもちょっと遠慮してしまうほどのコースである。
 城崎駅で輪行バックに自転車を入れ、帰路についた。写真のように壁にくくりつけ、自分は普通に乗ることができる。
 何回か乗り換えをして、松江に21時すぎに着いた。そこから益田までは自動車である。こうして、鳥取〜城崎の「つぎはぎ日本一周」は終了した。達成感のあるツーリングだった。

城崎駅  


   本日の走行距離101キロメートル。





















『つぎはぎ日本一周』