C 松江〜仁万   2003.6.8

 前回は、益田から仁万までツーリングをしたが、これから先は、まとめて休みをとったときしかいけないなあと思っていた。『つぎはぎ日本一周』は、益田から近いところはなんとかなるが、これからはどんどん遠くなるので実行は難しくなる。まあ最初から分かっていたことだけど・・・。
 夏休みまでは、まとめて休みを取れないので、当分無理だなあと思っていたが、仁万から松江を逆走することで、なんとかなりそうということに気がついた。6月7日に益田教育サークルが事務局になって、野口塾IN島根を松江で行うことになっていた。この時に、自転車を積んでいって、次の日に松江から仁万まで自転車で帰り、そこに自転車を置いておく。再びそこから電車で松江まで、そして、松江から車で仁万まで、そこで自転車を積み、益田まで帰るという計画である。この案を思いついたとき、我ながら時間と時間の隙間を見つけたうまい計画だなあと思った。
さて、野口塾IN島根も大成功。夜の会も大いに盛り上がり、宿泊先に帰ったのは夜中の1時になってしまった。
 計画では朝6時に出発だったが、さすがに、睡眠時間がたりず、結局起きれず8時前に目が覚めた。大急ぎで8時に宿泊先を出発して、今日のスタート地点である松江駅に向かった。
 しかし、ここも無料の駐車場がない、結構な時間をとめることになるので、少し離れた宍道湖ぞいの駐車場に車を止めることにした。ここで自転車を組み立てる。今回は天気もいいことと、組み立てる時間の短縮のために、泥除けをつけなかったのであっという間にできる。
 まず、今日のスタート地点である松江駅に向かう。松江駅から、本日のロングツーリングスタートである。最初に立ち寄ったのは、県立美術館。見てみると、宍道湖側に遊歩道のように通れる小道があった。9号線側からは何度も見たことがあったのであるが宍道湖側から見てみたいと思ってその小道に入った。入ってみると思ったよりゆったりとした作りで、散歩にもいい感じがした。

松江駅 県立美術館

  9号線を出雲方面に向けて進む。この道はアップダウンが少なく、足にもほとんど負担がなく、軽快に進むことができる。また、自転車も比較的安全に走行できる広い歩道もあり、家族でいくのもいい道だと感じた。
 玉造に着いたので、少し奥になるが、玉造温泉の中心街を見てみたくなり、よってみた。そこは、風情のある小川が流れその両岸に立派な温泉旅館が立ち並ぶ、いい感じの街だった。特に川は、コンクリートで両岸を固められてはいるものの、川の流れる場所は、水量に比べ面積を多くとっているため、自然の感じに近い流れになっていて好感が持てた。

 温泉旅館が立ち並ぶ 川は自然に近い

  その後、宍道、斐川と進み、出雲に入る。
 出雲市は、私が新採の赴任地としてとても懐かしい所である。大津の来原というところにアパートを借りていた。そこのすぐ近くに、出雲市の町中を流れる運河『高瀬川』の水を取り入れる来原岩樋(くりはらいわひ)があった。今回のツーリングでそうした思い出の箇所が見てみたくなったのでふらっとよってみた。こういうところが自転車のいいところ、思いつくままに寄り道ができる。
 さて、ここは、初めて担任した4年生の子どもたちと見学にもきたところでとても懐かしかったが、今から16年も前のこと、どんな感じのところだったのかなあと行くまではなかなか思い出せずにいた。しかし行ってみたら当時のままで、すぐに「そうそうこんなところだった」と、思い出した。かすかに記憶にあったものが実際にそこに行くと、ぱっとついこの前行ったところのように鮮明に思い出すことができたので、とても面白かった。そういえば、ここを越えたら、小さい建物があって、そこから中を覗けたなあなどと、見えていない箇所まで思い出すのである。記憶というのは、何かの刺激で、一瞬にしていろいろなことが浮き出てくるそんな感覚を経験した。

来原岩樋 水の取り入れ口 斐伊川

高瀬川沿いの道をゆっくりゆっくり進んでいった。当時住んでいたアパートは確かこの辺だったなあと探しながら。見つけたときは、とても懐かしかった。アパートの近くまで行き、思わず写真をパチリ。

3年間暮らしたアパート

 アパートを後にして、市内へ入っていった。やはり、高瀬川沿いの道である。ここは、歩行者、自転車専用道があり、とてもいい感じの道である。親子でサイクリングなども楽しいだろうなあと思う。岸には柳の木などもあり、いい雰囲気。また、市内の中心部も通っており、市民の憩いの場となっている。この川に沿って、たくさんの水辺公園があった。 

中心街も通っている 大梶七兵衛の像 高瀬川ぞいのサイクリングロード

 出雲市街をぬけて、新採の時の小学校『神戸川小学校』の校区に入っていく。当時にかかっていた古志橋は撤去され、現在は立派な古志大橋ができていた。この橋を渡りながら、このまま新しい道を通るのもいいけど、昔通勤していた道を通ってみたいなあと、ふと頭をよぎり、古志大橋を渡ってすぐに横の小道に入り、昔の道へ行った。懐かしい景色が目に入ってくる。この選択が偶然の再会を生むことになる。
 昔の道を通っていると、そこに、新採1年目に同学年を担任してくださったK.T先生が・・・。一瞬目を疑った。挨拶をするとK.T先生もすぐに分かったようで。びっくりしていた。会うだけでも驚かれたと思うが、自転車に乗ってここにいるということが信じられないといった顔をされていた。事情を説明して、そこで、しばらく思い出話に花が咲いた。
 最初に出てきた思い出話は、新採の時の職員旅行に寝坊して、JRを3分間待たせたことだった。我ながら冷や汗もんの思い出。
 今は神戸川小学校に読み語りのボランティアに入っておられるということだった。校舎も改築されるということで、当時の校舎を見ることができるのも後少しというお話も聞けた。
 K.T先生に会い、とても懐かしく、相変わらずのエネルギッシュな姿に触れることができ、元気をいただいた再会になった。記念に写真をパチリ。これもいい思い出になった。

古志大橋 懐かしい高見先生と

 その後、見納めになるであろう、神戸川小学校によってみた。当時のままの校舎がそこにあった。と〜っても懐かしい。ここで、戸惑いながら教員としての第1歩をスタートしたのである。この校舎も改築ということでさびしくなる。今回のツーリングで見ることができてよかった。

神戸川小学校

 出雲市を出る。左手に神西湖を眺めながら、湖陵町に入る。今まではアップダウンが少なく快適な道であったが、ここからはアップダウンが増えてきた。途中のポプラで弁当を購入し、昼飯を食べるところを探していた。多伎町に入る手前の道で、左手にきれいな湖が見えた。ここで食べようと思い、行ってみた。この湖は、『蛇池』といい、とても水がきれいで、景色も美しい湖だった。また、あまり観光地化していないらしく自然の美しさがあった。きれいな景色を見ながら、弁当を食べた。最高に気持ちいい。ツーリング時の外で食べる弁当はとてもおいしい。これも楽しみの一つである。

鮒の稚魚がいっぱい きれいな蛇池

 9号線をさらに西に進むと、巨大な風車が2基見えてくる。『きらら多伎』道の駅である。ここの近くに風力発電の設備がある。ここは、さっき弁当を食べて休憩をしたばかりだったので、よらずに写真だけとって先へ進んだ。

キララ多伎 巨大な風車

 多伎町にある駅なのに、なぜか漢字が違う、田儀駅を左手に見て先へ進むと、車で通ったときには見えていなかった砲台が見えてきた。よってみると、手引ケ浦台場というところで、幕末に外国船が日本海にも現れるようになって、その海防のために築かれたものだった。ただ、ここにある大砲は、他の箇所の大砲を参考に復元されたものということだった。ここからの眺めは最高だった。

眺めは最高! 砲台

 その後、上り坂が多くなり、少々疲れが出てきたが、なんとか峠を越え、大田市に入った。そろそろ時間も気になってきたので、どこにも寄らずに先へと進んだ。途中、突然広い歩道が階段になるような、どう考えても自転車を無視したところがあった。

突然歩道が・・・

 
  
 そして、本日の目的地である仁万駅に到着した。午後3時ごろだった。ここから鉄道で松江まで行くことになる。出雲で乗り換えがあるが丁度普通料金で松江まで行ける時間だった。
 時間が来たので、その列車に乗り込んだが、ここで、JRに対してどうにかしてよ!っていう出来事が・・・。
 出雲に行くまでのところで、20分足止めをくらったのだ。どうも、山火事があったらしく、そのために鉄道がすすめないということだった。
 20分遅れで乗り換え予定の出雲市に着いたのであるが、なんと松江までの快速はもうすでに出ていたのである。次の普通列車を待つと、もう1時間遅くなってしまう。そこで、仕方なく特急に乗ったのであるが、当然特急料金が取られた。たかが740円とはいえ、JRが遅れなかったら、この料金を払わなくてもいいはずのもの、なんともいえぬ苛立ちを持った。乗り継ぎの快速はさっさと時間通りに行ってしまうし・・・。到着は遅くなるは、よけいに料金は取られるはで、ふんだりけったりという心境になった。う〜ん今思い出しても腹立たしい。乗客である私には、なんの責任もないのに、遅くなった上に料金をとられるのである。他の業界では考えられないのでは・・・。まあ、そんなせこいことは考えないで、心を広く持とうと、言い聞かせて、宍道湖ぞいの駐車場に歩いて行き、車に乗った。
 そこから、仁万まで車で行ったのであるが、ついさっき自転車で通った道。今日のツーリングを思い出しながら進んだ。そして、仁万駅に行き、自転車を積んで、益田へ。
 懐かしい気持ちになったり、腹立たしくなったりの今回のロングツーリングだったが、今後の『つぎはぎ日本一周』の方法のヒントになった。
 ますます、遠くなり難しくはなっていくと思うが、なんとかこれからも続けていきたい。(変な人ですねえ。・・・自分でも思います。)

 本日の走行距離 93.5キロメートル。






















『つぎはぎ日本一周』