チーム寺子屋 
ツール・ド・国東 参戦記2006
2006.5.3
 昭和の雰囲気がする旅館での朝。緊張からか?昨夜はあまり寝られなかったのだが、それでも6時すぎには目が覚めた。いよいよツール・ド・国東 当日だ。
 今回は、トレックのFさん、気合だーのOさん、真砂のI夫妻、元気印のMさんと私の6名の参加。SBちゃんは都合により欠席。昨年の2名から大幅増員。大人数でこうしたイベントにチャレンジするというのは、とても楽しい。
 朝、近くのコンビニでバームを大量に購入して、今日のロングライドに備えた。会場についたのは7時すぎ。すでに開会式会場に一番近い駐車場は満車で少し遠いところに駐車した。ここで、自転車を下ろしたり、コンビニで買った朝食を食べたりしてスタートの準備をする。その準備をしている横の道で多くの人がスタート前の練習をしていた。
 スタートの時間が迫ってきたので、会場に移動した。前回も思ったが、コルナゴ、トレック、ビアンキ、キャノンデール、インターマックス・・・・・高級自転車の展示会では?と思えるようなロードバイクの数々、色とりどりのサイクルジャージやヘルメットなど、そして、1500人という人数と、一人ひとりの闘志もあいまって、華やかな感じの中に静かに緊張感もただよう、そんな朝の会場だった。

   

 すでに開会式は終了していたので、すぐにスタートの位置に陣取った。私は今回は160キロのAコースにエントリーした。9時にスタートするのだが、その2〜3分前に私の近くでプシューという音が、なんと、近くの人のタイヤがパンクしたのだ。こんなスタート直前になって、こういうこともあるのだ。お気の毒としか言いようがない。それでも、こういうトラブルもレースのうちなので、当然その人のパンク修理を待ってあげることもなく、9時丁度にスタートした。前回は初めてだったからだろうか、このスタート前の緊張はすごかったという記憶があるが、今回はそれほどでもなく、割とすんなりとスタートが切れた。

  

 最初の8キロはパレード走行ということで、前回のBコースは遅いくらいのペースだったので、安心しきっていたのだが、やはりAコースは違った。パレード走行のスピードの速いこと。このスピードについていくのがやっとだった。昨年も同じような道を通ったはずなのだが、今年はペースが速いせいか、いきなりきつい感じが襲ってきた。160キロもこんな感じが続くのかな?と多少心配になった。それでもいい天気の中、700名ものロードバイク集団が道を進む様子は走行しながら見ても圧巻だった。

 

 昨年は、走行しながら写真を撮ることができたのだが、今回はペースが速いのでほんの数枚だけしか撮れなかった。
 スタートしてから少しの間はBコースと同じ道だが、Aコースは武蔵の方にぐるっと一周してくる。武蔵の方向は意外に坂も多く、結構足にきた。エイドステーションもこの間にはなく、ポカリとバームをときどき飲みながら進んだ。その後、再びBコースと同じ道を進むという設定だ。昨年、Bで出場したとき、この道でAコースのトップ集団がバイクのようにすいすい我々を抜いていったのを思い出す。そのAコースに今年は私が参加している。今年は私がBコースの人をすいすいと抜いていった、と書きたいところだが、なかなかそうもいかず、Bコースの最後尾の人たちだろうか、ほんの数名を抜いたぐらいでだった。そして、だんだんと坂が急になり、本格的な上りのコースになる。今年はヒルクライムにも申込みをしたのだが、この区間だけ力を出して記録を出そうとしたら、きっと後からもたないと思ったのでヒルクライムの区間もそれまで同様のペースで登った。・・・というと計画的のようだが、そのペースでしか登れなかったという方が正直なところだった。それほど体力を消耗していたのだ。後ろから何名もヒルクライムの挑戦者に抜かされた・・・くやしい、後日記録が送られて来るのだがしょぼい記録だろう・・まあ、仕方がない。
 そして、最初のエイドステーションに到着した。このエイドステーションはチェックポイントも兼ねていて必ずとまらなくてはならない。ここで、NさんとMさんに会った。お互いがんばろう!と声を掛け合った。エイドステーションには「おせったい」というボランティアの方のおもてなしがある。これがありがたい。水分とスポーツ飲料を補給したりバナナを食べたり、オレンジを食べたり、ゼリーを食べたりした。あまり休みすぎても体が重くなるので、少ししたら再びスタート。
 エイドステーションを出て少し行くとBとAで再び別ルートを進む。このBコースに昨年ショックを受けた壁のような坂がある。昨年、根性で足を着かずに登ったのだが、なんとFさんは今年立ちこぎをしないで登ったということだった。すごい。また、Bコースは土砂崩れのため昨年のコースと変更があったそうで、そこのルートにも魔の坂があったということだった。あ〜恐ろしい。今年Bコースで時間内に帰って来れない人が80名ぐらいいたそうだが、この坂のせいだろうということだった。
 Aコースは壁のような坂はないけれども、結構きつい坂は何度もある。このアップダウンの連続が徐々に疲労を溜め込んでいくのだ。豊後高田氏健康交流センターが2番目のエイドステーション。ここでも、水分やオレンジ、バナナなどをとった。また、めずらしいもので海苔もあった。この海苔が塩けがきいているからだろう、汗をかいた体にはとてもいい感じがした。

 

 相変わらずペースは速い。昨年のBコースでは途中からはBの人を追い抜くことも多かったのだが、今年は追い抜かれる方が圧倒的に多い。これだけでも、随分精神的にダメージがある。人との競争ではないとはいうが、正直なところ意識していないというのはうそになる。少しでも速くゴールしたいし、順位も上になるほうがうれしいのだ。

   

 少しすると、自分のぺースと位置も落ち着いてきたのか、今度は同じような実力の人を抜いたり、抜かれたりという時間帯になった。160キロを走る間には頑張れるときと頑張れないときが交互にやってくる。さっき抜いたと思った人に再び抜かれるというようなことの繰り返しといった感じだった。
 その中の一人に片足の方がいた。ビンディングがあるので、片方の足だけでもペダルを回転させることはできるのだが、バランスをとるのも難しいし、力も半分しか出せない、そんな状態で私とほぼ同じペースで進んでいた。すごい方だなあと感心しながら進んだ。
 昼食をとることになっている真玉粟島神社のエイドステーションに到着。昨年もとてもおいしくいただいたのだが、今年も疲れたからだには本当にありがたい。と〜ってもおいしくいただくことができた。おせったいの方に感謝。それまでのエイドステーションより長めに休憩してからスタートした。

    

  

 人の後ろにぴったりとついて走ると空気抵抗の関係からか、とても楽に進むことができる。当然先頭の人は後ろの人よりきついのであるが・・。これを利用してチーム走行をする方法がある。先頭をローテーションで交代するという方法だ。こうすることでチーム全員の疲労度を抑え、スピードはキープできるのだ。今回、チーム寺子屋は6名参加したが、このAコースには私だけの参加なので、こうしたチーム走行はできないはずだったのだが、個人参加の人同士がなんとなく気持ちがつながり自然にこうしたチーム走行のような走り方をする時間帯があった。お陰で随分元気が出た。(当然私も先頭で引っ張った)
 海岸線に出たら後少しだろうと、勝手に思い込んでいたのだが、標識に竹田津という文字が・・・ここは昨日の段階ではフェリーで来ることになっていた港(実際には高速道で来た)なので、地図でよく見て位置を覚えていた。まだ国東半島のあの部分を走っているのかあ〜となんだか、とってもブルーになった。 国見保健福祉センターがエイドステーションにはなっていたが、チェックの必要がなかったので、そのまま進んだ。昨年も感じたが、海岸線ではあるが、結構アップダウンがあり、疲れがたまっていく。「つぎはぎ日本一周」で結構長い距離を走っているのであるが、これだけのハイペースをずっと維持して走ることはない。体のあちこちに無理が出てきたのだろう。お尻や腕が痛くなってきた。ここまで来ると、記録や順位というよりも、とにかく無事に完走できることを目指していた。「あと5キロで感動のゴール」という看板を見て再び元気が出て、最後までペースを保ってゴール。昨年以上にへとへとのゴールとなった。すでに、Cコースに参加したI夫妻とBコースに参加したFさんはゴールしていた。
 やったー着いた。160キロを完走できた。やっている最中は本当にきつくて止めたくなるような瞬間もあるのだが、こうしてゴールしたときの達成感は本当にうれしい。

  

 その後、まだ、ゴールしていないOさんとMさんを待っていた。最初にOさんが帰ってきた。あの激坂の辺りを5年生の男の子のがんばる姿で励まされてクリアすることができたそうだ。

  

 そして、最後にMさん。制限時間にほんの少し間に合わなかったのだが、それでもリタイヤせずにゴールすることができた。ゴールした瞬間泣いていた。チーム寺子屋のみんなでゴールのところで「よくやった!」と迎えた。120キロコースは本当にきつかったがリタイヤせずにがんばれたその感動と、やっとゴールができたという安堵感から出た涙だそうだ。「完走おめでとう!Mさん」

 

 帰りはさすがに足が重く、体を動かすたびに「痛っ!」と声が出るそんな感じだったのだが、途中温泉に寄って体を休めた。これが最高。体を酷使した後だけに、温泉のありがたさをものすごく感じた。あ〜気持ちよかった
 益田に帰ったのは深夜の1時ごろ。とってもハードなツール・ド・国東参戦となった。
 私の記録 
 Aコース 160キロ
 タイム 6時間50分49秒(公式記録)
 休憩を除いたタイム6時間15分45秒(オートメモリにしたサイクルコンピューターによる)
 平均時速 25キロ(昨年とほぼ同じ)
 最高速度 64.1キロ
 最大心拍数 187 
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寺子屋












『チーム寺子屋』