チーム寺子屋 
2005ツール・ド・国東
 チーム寺子屋として、何か目標をもってトレーニングがしたいということで、SBちゃんがツール・ド・国東という大会があるという情報を仕入れてきた。以前はレースなどに出場するなど、夢にも思わなかった私。しかし、ビアンキを手に入れトレーニングをするようになってから、出てみようかなあ〜という感じになっていたところだったので、一大決心。出場してみることにした。(ツール・ド・国東 公式サイト
前日    【下見をしたのは、いいけれど
 「ツール・ド・国東」に向けて大分県に向かった。一度は走る道を下見をしておいた方がいい、ということで、大分に着いたのは夜だったのだが、暗い中、車で下見。ただ、時間が時間だけに、短時間ですまして、早くホテルに入って、体を休めたいという気持ちから、一番坂のきつそうな区間を中心に下見をした。初めての道なので、ナビをたよりにその区間をゆっくりと見てまわった。
 この坂はきつそうだ、とかここは豊川のいつものトレーニングコースの坂ぐらいだろうか?などと、SBちゃんと話しながら進んだ。どうも、峠付近に、自転車をおすような坂があるらしい、というインターネットからの情報もあり、山を登って坂をチェック。その途中、たしかにきつそうな坂。これがそうかなという坂を発見。まあ、これだったらなんとかなるだろう。という結論に達し、その先の下りの部分を少し行って、引き返した。うん。これで、明日、ペースの配分をしながら行けると下見をしてよかった〜という気持ちでホテルに入った。・・・・・・・しかし、意外な結果が待っていた。
当日  2005.5.3
 朝からわくわく
 受けつけは7時からであるが、ホテルが別府駅の近くにあったので、会場である杵築までは少し時間がかかる。ということで、朝は5時30分に起床して、準備をした。
 途中のコンビニで朝食や走る最中に飲む飲み物などを購入した。(昨日、職場のマラソン大好きの同僚からこれを飲むといいよ、ということで、バームという飲み物をいただいたのでしぶちゃんにも勧めた。)
 会場である杵築市の住吉浜リゾートパークには7時ごろに到着。ここは、キャンプ場などもあるリゾート施設。
 受付が始まったころだった。駐車場には車がいっぱい。ほぼ満車状態だった。しかし、ラッキーなことに受付近くに1台分空いたスペースがあったので、そこに駐車。

どきどきどきどき2いい自転車がいっぱい 開会式

   すぐに受付をして、自転車をキャリーから降ろす。開会式会場の横には自転車をつるす場所があったのだが、ここに、インターネットや雑誌などでしか見たことがないような、高級自転車がたくさんあった。SBちゃんと興奮状態でそれらの自転車を見て回った。コルナゴ、ルック、トレック、スコット、キャノンデール、チネリ、ビアンキ、などなど中には80万ぐらいするのもあったと思う。すごいな〜、いいな〜と子どものような気持ちになっていた。
 大会の実行委員長のMさんが会場を仕切っていたのだが、この方の声が凛としていて、声だけで、人を動かすことができるだけの迫力を感じた。この方の指示は全員に行き届くそんな感じだった。
 我々は初参加ということで、断念したAコース160キロに参加した最高齢の方は61歳。すごい、の一言につきる。

 いよいよスタート】
 開会式が終わって、午前9時、まずはAコースの700人がスタートする。Bコースも共通であるが、最初7キロぐらいは3列になって、パレード走行をする。横の方で、その様子を見ていたのだが、パレード走行にもかかわらず、最初の方は相当速いスピードで進む。SBちゃんと顔を見合わせて、「パレード走行でもついていけんかも・・・・」と不安になる。
 次に9時10分、Cコース60キロの人がスタートをする。

いよいよ・・・ パレード走行 パレード走行2

 そして、いよいよ9時20分、我々のBコース120キロのスタートである。スタートを待つ間、緊張のあまりもどしそうな気分になった。SBちゃんも同じ感覚になったようだった。
 スタートの合図。それでも、3列でパレード走行なので、先頭から進むので、少ししてからゆっくりスタートした。Bコースの参加者は約300人。これだけの人々が自転車に乗って一斉にパレードをするのだ。乗りながら前や後ろを見ても壮観だった。SBちゃんと「気持ちいいねえ」と話ながら進む。これぐらいのペースだと気持ちいい。

【自由走行開始!】
 7キロすぎに国道213号からそれて、県道へ。ここから自由走行だ。見ると先頭ははるか彼方。完走が目標の我々は順位にはそれほどこだわるつもりはなかったのだが、自分への挑戦という意味もあるので、ここからペースを上げる。心拍数は一気に上がる。バームの影響か、緊張感の影響か心拍数の割りには速度をキープできる気がした。
 Aのトップ集団の速いこと速いこと県道34号線に出ると、だらだらとした上りが続く。ここはAが武蔵の方に回ってから合流したコースでAの人も一緒に走る道だ。最初はまだ、Bばかりだったのだが、そのうちに、何やらいままでにない自転車の音が・・・。そう、あコースのトップ集団がやってきたのだ。我々が結構がんばって上っているそのすぐ横を1列になった集団が涼しい顔をしてすごいスピードで追い越していったのだ。これにはびっくり。人間って、この坂をこんなスピードで上れるんだ・・・・と。トップクラスの走りを目の当たりにして、Aにエントリーしなくてよかった〜と思った。次々とAの集団が抜いていく。途中、やや余裕が出た時に、思い切ってその集団についていってみることにした。すると、思ったより、ついていけるではないか。前の人にぴったりとくっつくことで、空気抵抗が少なくなるとは聞いていたが、これほどの効果があるとはびっくり。たしかに、こうする方が速くいけ、疲れも少なくてすむ、このことを実感できてうれしかった。しかし、所詮初心者の私、ずっとAについていけるはずもなく、そのうちにまた、距離を開けられてしまった。ところどころ、後ろから抜いていくA集団についていき、距離を稼いだ。まあ、それにしても人間鍛えるってことは本当にすごエイドステーションいなあ〜と思う。いつかはあのAの走りに近づけるようになるのであろうか?
 最初のチェックポイント大田の公民館。ここには、飴、バナナ、ゼリー、スポーツドリンクなどが置いてあり、ボランティアの方がお世話してくださった。元気のいい男の子が「がんばってください」「どうぞ、しっかり食べてください」と大きな声で声援しながらお世話してくれた。ありがとう!ツール・ド・国東はこうしたボランティア450名の方々に支えられて成立している。本当に感謝。
 ヒルクライムのコースが終わって、下りの箇所。ここは見通しもいいし、道幅もしっかりある。スピードメーターを見たら漕いで無いのに60キロぐらいをさしていた。急にチャレンジスピリットが沸いてきた。どのくらいのスピードがでるか一番重いギヤでおもいっきり漕いでみた。すると、自己最高速度、時速72.9キロが出た。ついに70キロの世界に突入した。
【下見をした坂が・・・】
 さあ、この後、昨日下見をしておいたこのコース最大の坂が待っている29号線を上っていく。並石ダムあたりの湖、美しい。しかし、そんなことを考えている余裕はなく、必死になって上る。

必死! 綺麗な景色の中を進む

 昨日下見をしていたので、ここが急な坂、ここさえ辛抱すれば、下りが待っている。と思いながらトンネル前の道を進んだ。その先に給水所があったので、しばし休憩。水分補給をし、バナナを食べた。
 念のために係りの人に「この先で下りですよね。」と聞いてみた。すると「あと少し行ったら下りなので、がんばって」という返事。ほっと安心していると、その問答を聞いていた人が「そんなこと言ってもいいの?」という不吉な言葉を発していた。
 休憩を終え、再びスタートを切った。すると、昨日の下見のときにここからは下りだと判断して、引き返した箇所に来た。やったーこれで下りだ。と思い喜んで、その下りを気持ちよく下った。
 しかし、しかしである。その下りは予想に反してすぐに終わってしまし、なんと、その後再び上りが待っているではないか・・・・しまった!こういうことだったのか・・・・。
 その坂は結構きつく、根性で上った。さっき、ここさえ越えれば下りが待っている、と思って力を使いすぎたようだ。それでもへとへとになりながらなんとか上っていった。
 すると、目の前にものすごいショックな看板が・・・「この後、急な坂」というもの。えっ?今までも急な坂を上ってきたと思っていたのに、そこにこんな看板が、なぜ? 答えは簡単だった。そう、今まで以上にすごい坂が出現したのだ。一瞬これは自転車じゃあのぼれんだろう?と思えるほどの坂だった。インターネットで押して上るような坂として紹介してあったのはここだったのだ。
 もうそれまでにもそうとう力を使っていたので、もういっぱいいっぱいだったが、ここまできたらどうにでもなれ!と自転車に乗ったまま突入した。心拍数はなんと190。時速は7キロ。「歩いている速度とかわらんじゃん!」と心の中で叫びながら、根性で足を着かずに上りきった。よっし!これで下りが待っているぞ、と思ったのは甘かった。坂が終わったところに広い道があり下りだろうと思ったのだが、上っていくという。一瞬くら〜っときた。それでも、気合だ!と再び気持ちを切り替え上っていった。途中、道路の横にへたり込んでいる人に会った。分かるよ〜その気持ち。
 ついにトンネルが見えてきた。ここの係員に、「ここが本当の峠ですか?」と聞いたところ「後は下りだよ、坂が急なので、気をつけてね」という言葉。やった〜一番の難所をクリアしたのだ。

超急な坂を上りきった後の坂・・・ これが本当の峠

 下りは本当に気持ちいい。つらい坂を上った後のご褒美だ。しかし、ここの坂は、さっきの係員が言っていたとおり急カーブの連続。慎重に自転車を操り安全に走行する。後でSBちゃんに聞いた話だが、SBちゃんが通るころには何人もこのカーブでこけていたそうだ。中には血が出ているような人もいたという。お〜こわっ。気をつけよう。
【昼食休憩】
 下り終わった後、今度は細い道を行く。ここにはあまり標識もなく、前後に人もいなかったので、本当にこの道で間違いないのだろうか?と少々不安になりながらの走行となった。それでも、海岸線に出て、昼食箇所、国見町に到着。ここで、おにぎりやだんご汁、果物などを食べ、しばし休憩。オレンジがうまくて、5〜6カットぺろっとたいらげてしまった。

ランチタイム。エネルギー補給 ここにもいい自転車いっぱい

 昼食後、国道213号線を行く。以前「つぎはぎ日本一周」で一度通ったことがあるコースだ。そのときはあまりアップダウンがあったという印象は無かったのだが、エイドステーションを出て10キロぐらいは結構なアップダウンがあった。
【ものすごい人々&感動のゴール】
 途中Aコースの人たちがどんどん抜かしていく。やっぱりAの人たちは違う。そんな時、Aの人が抜かしたのだが、なんと、ヘルメットの後ろから長い髪が・・・・女性だ。男でもヒーヒー言っているコースなのに、すごい。これに奮起して、なんとかついていこうと再びチャレンジ。いい感じでスピードアップすることができた。何キロかついていったのだが、やはりだんだんと距離をあけられてしまった。
 また、その後でトレックに乗ったAコースの人に抜かされた。ここで、再度奮起。またついていくことにした。この人にはなんとか、根性で最後、住吉浜までついていくことができた。この人についていったお陰で、後半になってばてていたのであるが、何人か抜くことができた。Aコースの人は私たちBコースより40キロ多く走行してきている人たちなのだが、それにしてもすごいパワーだった。
 最後の住吉浜の海岸線の道はこのコース一番のがたがた道で走行しにくかった。ここに来て数人に抜かれてしまった。ゴールが見えてきた。やった!完走だ。

ゴール   しぶちゃん感動のゴール 

 「こうしゃ」係りの人がそう言ったのだが、最初意味が分からず戸惑ったが、「降車」とわかりすぐに降りた。そして、ゴールの受付でタイムカードと完走証をもらった。タイムは5時間2分。速いのか遅いのかは分からないが、制限時間の8時間よりは随分と早く到着することができた。体中の筋肉を使い切ったような感覚。動くたびに痛いのであるが、ここまでくると、逆にここちいい。120キロ5時間で完走したのだ。素直にうれしかった。
 最後についていったAの人に「目標にさせてもらい、とてもありがたかったです。ありがとうございました。」と言い顔を見ると、あれ?想像では20代〜30代の方かなと思っていたのだが、少々年齢が高いような、年齢を聞くと、なんと56歳。驚きである。56歳の方があの走りを・・・・自転車を始めて10年ぐらいだそうだ。すごい。
 そして、私を抜いていった女性にも声をかけた。彼女はトライアスロンをやっているということだった。このお二人に象徴されることだが、鍛えるということはすばらしいということを感じたレースだった。
 
 その後、SBちゃんのゴールの瞬間を写真に撮ろうと、ゴール付近で待っていた。しかし、なかなか来ないので、つい油断して、変わった帯状の雲が2本頭上に見えたので(地震雲?)写真を撮ってしまった。そして、ひょいと、ゴールを見ると、なんとSBちゃんがゴールしているではないか。あわててシャッターを切った。横顔ではあったが、なんとか間に合った。セーフ。
 お互いの健闘をたたえあった。
 こんなに体を酷使したのはいつからぶりだろうか?たぶん大学の部活以来ではないかと思う。
 きつかったけど、達成感のある「ツール・ド・国東」。来年は160キロのコースに出ても恥ずかしくないようにこれから、しっかりトレーニングをしなくては、とSBちゃんと話した。
 くせになる疲労感と、達成感に包まれながら、会場を後にした。
 ツール・ド・国東の関係者のみなさん、ありがとうございました。

完走したぞ 完走したぞ! お互いの健闘をたたえあう 完走賞 さあ、帰るぞ
 

私の記録
 タイム 5時間2分(公式記録)
 休憩を除いたタイム 4時間41分(オートメモリにしたサイクルコンピューターによる)
 平均時速 24.9キロ
 最高時速 72.9キロ
 最大心拍数 190












『チーム寺子屋』